天才絵師・鰭崎英朋の美人画

美術

「天才絵師・鰭崎英朋の美人画 -朝日コレクション 明治・大正の木版口絵より」が
静岡県三島市の佐野美術館で開催されており、2020年10月25日が最終日となる。

近所でいつでも行けるからと先延ばしにしていたが、10月24日ぎりぎりになって行ってきた。
パンフレットを見て、その女性の絵の美しさに惚れた。
必ず行きたいと思っていた。

鰭崎英朋 ・ひれざきえいほう (1880~1968)
明治・大正時代の文芸誌の口絵で本領を発揮した画家であり
鏑木清方と同時代に挿絵画家として活躍したという。

正直、全く存在さえ知らなかったが、
ちょっとそのなまめかしい妖艶な女性像はとても魅力的だ。

朝日智雄コレクションからの出品がメインとなっており、
三島市の方で、個人で30年ほど前から口絵を約2500点を収集しているらしい。

木版口絵とは主に明治から大正にかけて約30年ほど続いた
江戸時代から続く伝統的な技法で制作されたものであり、
まずは絵師が作画をし、それを元に彫師が木の板を彫り、
摺師が紙に摺るという分業された巧みな技術で生み出されたもの。

安価な印刷技術の登場でこの木版口絵は大正中期に姿を消してしまったが
その最後の約10年、この鰭崎英朋と鏑木清方の大人気絵師が大活躍していた。
本の売れ行きも口絵の良し悪しで大きく左右され
当時絶大な人気を誇ったこの絵師の二人は時に病気になるほど忙しかったそうだ。
生まれも育ちも画風も違うこの二人はお互いに議論をするほどの交流もあり
挿絵界でも良きライバルとして切磋琢磨した。

この展覧会で販売されていた太田記念美術館発行の図録には
弥生美術館学芸員の松本品子さんのエッセイが収録されており
2人のエピソードがとても楽しく書かれていた。

鏑木清方は挿絵画家としてのキャリアを踏まえて、その後は
展覧会に出版する日本画の制作に重きを置くようになってあまりにも有名だが
鰭崎英朋はそのまま生涯を全うする。
そのため忘れ去られた存在となってしまったようだが、
そんなのもったいない。

そんな新たな発見を感じさせてくれたいい展覧会だった(^^)

 

※参考文献
「鏑木清方と鰭崎英朋 近代文学を彩る口絵 -朝日智雄コレクション」
太田記念美術館 令和2年開催の展覧会図録

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